夜の11時30分だった。
本当なら、私はこれを作る予定ではなかった。
公式LINEとプロラインをつないで、その先には10個のステップLINE。 そこまで組み立ててもらう予定だった。
ところが、予定は突然なくなった。
自分でやるしかなくなった。
困った。
私は、こういうものに強い人ではない。
というより、入口がわからない。
動画を見ても、どこまで見ればいいのかわからない。説明を聞いても、その説明に出てくる画面が見つからない。
管理画面へ行きたいだけなのに、
管理画面へ行く方法が、わからない。
なかなかの出発である。
Gmailが見つからない。
まず、画像をパソコンへ送りたかった。ただ、それだけだった。
ところが私は、Gmailを探して1時間ほど彷徨った。
今なら言える。Googleの画面右上に、「Gmail」と書いてある。書いてあるのである。それを押せばいい。
人間は、知らないものを探しているとき、目の前に書いてあっても見えないらしい。
しかも途中でMicrosoftの確認コードが現れた。Gmailを探していたはずなのに、Microsoft。 もう誰と何の話をしているのかわからない。
ここでも30分ほど止まった。
結局、Microsoftの確認コードはGmailに届いていた。
だから、そのGmailが見つからないんだってば。
話が堂々巡りである。

1MBという壁。
次は画像だった。
公式LINEの下に出すリッチメニュー。せっかくなら、きれいに作りたい。
画像を入れる。入らない。サイズを変える。まだ入らない。
どうやら、縦と横の大きさだけではなく、「1MB以下」という条件があるらしい。
JPEGにする。画質を調整する。容量を確認する。
そして、条件に収まった画像が、画面に
シュッ。
と入った。
嬉しかった。
今となっては画像が一枚入っただけである。しかし、深夜に何時間も迷子になっている人間にとって、「シュッ」は成功なのである。
そして、7番目が現れた。
ここからが、この夜のハイライトだった。
リッチメニューは6分割。ボタンも6個。当然、設定する範囲も6個。そう思うでしょう。私も思った。
ところが保存しようとすると、エラーが出る。
「7番目のアクションのタップのX座標は、1%以上を指定してください。」
7番目。知らない。私は6個しか作っていない。
Xを変えた。Yも変えた。範囲を少し狭めた。またエラー。
7番目。だから、その7番目は誰なんだ。
何度やっても、7番目が私を呼ぶ。
そして最後に、プルダウンを開いた。
いた。
本当に7番目がいた。
頼んでもいないのに。
削除した。エラーが消えた。

この夜、私はかなりの時間を、存在を知らなかった7番目に使った。
人生には時々、こういうことがある。問題そのものより、問題がどこにいるのかわからない時間の方が長い。
テストでは、できた。
次に、ボタンを押したら画像と文章が返ってくるようにした。
「初めての方へ」ボタンを押す。テスト送信。画面いっぱいに画像が出た。
超素敵。できた。
そう思った。
ところが。実際のLINEで押すと、来ない。
テストでは来る。本番では来ない。
ここで新しい登場人物が現れた。Webhook。
その頃の私には、Webhookが何者なのかもわからない。ただ、どうやらこれをONにしないと、LINEからプロラインへ言葉が渡らないらしい。
LINE公式の設定画面まで戻る。WebhookをON。
もう一度。
まだ来ない。
最後の敵は「#」だった。
キーワードには、「#初めての方へ」と入れていた。
ところが、半角の「#」と全角の「#」は違う。空白が一つ入っても違う。完全一致なら、一文字違っても動かない。
そんなことを深夜の私は知らない。
そこで「#」を外した。応答条件を部分一致にした。保存。
もう一度、実際のLINEを開く。リッチメニューを押す。
「初めての方へ」その文字が出る。
そして。
画像が出た。文章が出た。届いた。本番で。
できた。

朝になっていた。
11時30分から始めて、管理画面の入口を探し、Gmailを探し、Microsoftに惑わされ、1MBに阻まれ、頼んでもいない7番目と戦い、WebhookをONにし、最後は「#」を外した。
技術に強くなったのかと言われれば、たぶん違う。
今でもWebhookを見て、詩的な感情は特に湧かない。
ただ、一つだけ変わった。
わからないから、やめる。
それをしなかった。
わからなければ、画面を一枚見る。表示されている言葉を読む。一つ押す。違ったら戻る。また一つ押す。
やったことは、それだけだった。
そして、この話には
続きがある。
あの夜の私は、ただ、つまずいていると思っていた。
Gmailが見つからなかったことも。Microsoftで止まったことも。7番目に泣かされたことも。WebhookがOFFだったことも。
全部、「できなかった記録」だと思っていた。
ところが後になって、それを一つずつ整理してみたら、一冊の教科書になった。
「ここで迷った。」
「こうすると進めた。」
「ここには7番目が隠れている。」
自分が迷った場所だから、次の人に「ここで迷うよ」と言える。自分が止まった場所だから、「次はここを押せばいい」と言える。
あの夜は、失敗ではなかった。迷った道が、誰かの地図になった。
こういうことが、人生にはある。
その時には意味がわからない。役に立つとも思わない。ただ必死で通り過ぎる。
でも後になって振り返ると、ちゃんと別の意味を持っている。
だから私は、偶然や失敗を、あまり早く結論づけないことにしている。あとから、別の仕事をもらうことがあるから。
ただの悪戦苦闘だったはずの夜が、一冊の教科書になった。そして今、こうして一つの物語になっている。
人生は、なかなか編集がうまい。
伏線、回収。🦋


Practical Guide
ど素人でもできた!
プロライン開設から
リッチメニュー完成まで
実際の画面と解決手順は、教科書にまとめました。Gmail、画像の1MB制限、6分割リッチメニュー、謎の「7番目」、キーワード応答、Webhookまで。迷った順番のまま読めます。
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